(仮)ハルトとアルト
部屋のソファーに腰をかけた
「リーナ、僕の隣に座りなよ」

「えっ?あ、、はい」

「僕はね、フィリップから君の話を聞いていて、ずっと君に会いたかったんだ」

「父から私の話ですか?父はどんなことはなしていたんでしょうか?」

「う〜ん、フィリップは色々と話してくれたけど、僕が一番好きだったのは折れかけていた花に包帯を巻いてあげた話かな。凄く癒されたな。そんなに心優しい子がいるなんて、まるでおとぎ話に出てくるお姫様のようで」そう言うと、ハルトの顔には自然と笑みがこぼれた


「なんだか私の知らない所で私の話をされていたなんて恥ずかしいです」

「そんなことないよ、心優しい君の話を聞いては癒されて、、、気づいたら恋をしていた」

「えっ?」

「年頃にもなると舞踏会やらパーティーやら参加するけれど、出会う女性皆着飾って、色恋ばかり楽しんで、、、僕の心に住む小さなプリンセスには誰も勝てなかったよ。リーナが僕の理想の女性なんだ」

ハルトがそう言うと、リーナの手を取り、自身の胸に持っていった

「恥ずかしいけれど、ずっと片思いしていた相手を目の前にして、こんなにもドキドキしているんだ」
ハルト王子にそんなことを言われて嬉しくないわけがない。リーナは顔をピンクに染め俯き話した
「ハルト様、、、私、、、辛いです、、、」
「なぜ?」
「私、ハルト様のこと好きになってしまいます、、、」
「僕はうれしいのに、、、?」
「私は一市民です。形ばかりの姫です、、、」
「リーナ、、、」
「私は、、、私は、、、きっと、ハルト様の心にいた姫ではありません。良いように作られた道具なんです。もう幼い頃の純粋な私なんかじゃないんです、、、」
消さなければいけないこのハルト王子への思いを抱え込みながら、身が避ける想いの中そう口にしたのだが、気づくとリーナはハルトに抱きしめられていた。
「僕はリーナはリーナのままだと思ってる。自分の気持ちばかり言ってごめんね。でも、リーナが姫であってもなくても僕の気持ちにかわりはないよ。これからゆっくりお互いを知っていこう。」
「、、、ハルト様」

そっとハルトに唇を奪われたリーナは一瞬何が起きたのか分からなかった



< 10 / 11 >

この作品をシェア

pagetop