真夜中におはよう。
そんな夢を見た次の日の朝。ちょっと目覚めがよかった。
夢の内容もはっきりと覚えていた。登場人物はいつも私1人のだったけど、昨夜は斎藤イクヤがいたからだろうか、ほんの少し普段の夢より楽しかった。(ほんとに少しだけ!)
しかし、その日事件は起こった。
学校に着き、自分の座ったところでアイツが後ろから声をかけてきた。(出席番号の関係で、私たちの席は前後なのだ。)
「はよー。昨日さ、夢にハルちゃんが出てきてさ~一緒にお菓子食べたんだよね。」
私は凍りついた。じわじわと手から汗がでてくるのを見ないふりをしながらおそるおそる言った。
「…それってどういう感じの夢?」
「えーっとなんかピンクと黄色の空間で、苺タルトとか食べたよ。ハルちゃんに "勝手に夢に入ってくるな" って怒られちゃったよ(笑)」
斎藤イクヤが昨夜見た夢は私が見た夢と全く同じだった。
こんなことあるものなのか。クラスの1軍イケメンと夢の中で会うとか……
「どこの乙ゲーヒロイン設定だよ!」
私は思わず自分の思考にツッコンでしまった。
が、そんなことはあるはずがない。こんなのはただの偶然だ!そう自分に言い聞かせたのだった。
しかしこの日から私と斎藤イクヤは定期的に夢で会うことになるのであるが、この時の私はそんなことを微塵も考えていなかった。
つづく