君を愛していいのは俺だけ
「じゃあ、秋吉さんの意見も取り込んだ詳細デザインをいくつか出して、次回までに見せてください。それからPRは社長室と広報が主導で行いますから、別途打ち合わせる時間を設けます」
約二時間の打ち合わせが終わり、陽太くんは持ち込んだノートパソコンで作業をしている。
私も話し合った内容をまとめるために、席を立たずにキーボードを打つ。
少しずつ同席してた社員が会議室を出て行ってしまい、とうとう陽太くんとふたりきりになった。
「いい企画になりそうだね」
「っ!! ……はい。ありがとうございます」
オーバル型に設けられた会議室の机に、彼は頬杖を突いて私を見つめている。不意に話しかけられて、心臓が飛び上がったけれど、気持ちを悟られないように意識した。
「なにか困ったことがあったら、気軽に声をかけてくれていいから」
「ありがとうございます」
向かい側に座っている私はお礼を言ってから、また手元に目線を戻した。