君を愛していいのは俺だけ

 見つめられると、ドキドキする鼓動の音が聞かれてしまうんじゃないかと気が気じゃない。
 あれからずっと好きでいたなんて、まだ知られたくはないし、もし彼がそんなことを知ったら驚愕すると思う。

 一年や二年の片想いではなく、今でもずっと想い続けているなんて……。



「滝澤さんと仲がいいみたいだね」
「同期で、席も向かい側なので」
「それだけ?」

 問われた意味が分からず、首を傾げると、陽太くんはさらに私を見つめてくる。


「滝澤さん、かっこいいしセンスもいいし、女性社員から人気があるんだよ」
「そうなんですよね。MDでも人気者です」
「……秋吉さんは、どう思ってるの?」
「どうって……」

 まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったから、驚きで言葉に詰まった。


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