君を愛していいのは俺だけ

『陽太先生は、どんな人が好きなの？』
『俺の話はいいよ』
『ずるい！』
『仁香ちゃんだって、答えてないでしょ』

　上手く交わされた気もしたけど、仲よくじゃれるように話してくれるこの時間が、いつまでも続くなら、このままでもいいとさえ思えた。

　でも、いつか陽太先生が他の誰かのものになるのを考えたら、いてもたってもいられなくて――。


『じゃあ、一緒に言うことにしようよ。先生が言ってくれるなら、私もちゃんと言うって約束するから』

　なんとも思いきった提案をしたものだと、今でも思う。
　好きなタイプを聞きだすだけで、あんなに必死になった自分は彼の目にどう映っていたんだろう。


『わかった。言わないと授業再開させてくれなさそうだしな』

　私に頑固な一面があると知っていた彼は、私のお願いをすんなり受け入れてくれた。