君を愛していいのは俺だけ

『せーの、……ようっ!?』

 陽太先生、と言うつもりだったのに、呼吸ごと封じられて目を丸くした。

 約束してくれたはずの彼の顔が、それまで経験のない近さにあって。

 少し左に傾いた先生の表情が、刹那のうちに記憶に焼きついて……。



『……これが、俺の答え』

 重ねられていた唇は、じんじんと熱く火照っていた。
 初めて知った先生の唇の感触に、時間差で恥ずかしさが込み上げてきて。

 戸惑いでなにも言えずにいると、彼は優しく微笑んだ。


『仁香ちゃんの好きな人は、誰?』

 真っ赤になった私の顔を見つめてくる彼に、伝えようと決めていた気持ちを伝えた。


『陽太先生が、好き』


 高校生の私なんて、絶対に相手にされないと思っていたのに……。
 彼にとって私は子供っぽくて、『妹みたい』と言われたこともあったから、彼の答えは予想外だった。


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