君を愛していいのは俺だけ
経験のない私を、まるごと愛してくれた彼のことが、会うたびに好きになった。
限界なんてないんじゃないかと思うほど、好きで好きでたまらなかった。
そして、別れは突然訪れた。
高校三年の冬、彼は家族の転居が理由で、私の家までは遠くなるから家庭教師を辞めると言ったのだ。
受験目前だったし、辞められるのは困ると思ったけれど、通えないなら仕方ないと思って、『陽太先生』じゃなくなることを受け入れた。
それに、交際が終わるわけではないだろうと思っていたから。
でも、現実は違った。
どういうわけか、父親に交際が知られてしまって、猛反対されたのが理由だったのだ。
それを私に言わずに、去っていった彼と話したくて、何度も連絡を入れた。
だけど、彼はいつの間にか連絡先を変え、聞いていた住所に行ってみたら本当に引っ越していたようで、彼との繋がりが一切絶たれてしまったのだ。