君を愛していいのは俺だけ

「仁香ちゃん、ランチ行こう!」

 十三時を少し回った頃、同期が話しかけてきた。
 同部署の滝澤さんの他に、プログラマーの元木さんという三歳年上の女性、フレンドリーに話しかけてきたサイトデザイナーの桃子ちゃんの三人が、私の同期だ。


 滝澤さんも誘って、四人で代官山の街に繰り出すことにして、エレベーターで地上階へ下りた。
 このあたりはお洒落な街なだけあって、お店選びに困ることはない。むしろ、どこに行こうか迷ってしまうほど。


「私のおすすめの店でもいい? ビストロなんだけど、パスタとか煮込み料理がすごく美味しいんだ」

 桃子ちゃんの提案に乗って歩き出す。
 九月とはいえ、まだまだ日差しは強い。日傘を差そうとしたら、桃子ちゃんが私の隣に立った。


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