君を愛していいのは俺だけ
「今日は、俺に任せてくれる? いろいろ連れて行きたいところを考えてるんだ」
笑顔で頷いて答えると、彼もにっこりと口角を上げて微笑み返した。
「なんだか懐かしいよね。前もこっそりドライブデートしたもんなぁ」
「そうだね。あの時はどうしても私が江の島に行きたいって言って、門限もあるのに強引に連れて行ってもらったりして……」
「あぁ、そんなこともあったね。本当に帰りは必死で運転して、なんとか五分前に帰れたんだよな」
「楽しかったなぁ」
揃って思い出話に浸っていると、車は恵比寿の街を走っていて、駅直結ビルの駐車場に停められた。
「朝はなにか食べた?」
「うぅん」
「じゃあブランチにしよう。ゆっくりできる店だから、表参道の店みたいに緊張しなくていいよ」
「えっ!? あの時、私が緊張してるの気づいてたの?」
「もちろん。ワインを飲んでやっと解れた感じだったでしょ?」
気付かれていたのを今さら知るなんて、なんだかちょっと恥ずかしいな……。