君を愛していいのは俺だけ

 滞りなく業務を終え、予定されていた酒席の時間に間に合うように席を立って、社を出た。

 SUNRISERが入っているタワービルから程近い場所にある会員制の個室ダイニングは、温かみのある照明が灯っている。
 本当なら、陽太くんの南青山の自宅マンションで決起会をする案もあったらしいけれど、諸事情で今回からは外でやる事になったと先輩女子から聞かされた。
 その事情は、間違いなく私の存在だろうな……。


「それでは今年度もSUNRISERが発展するよう、一致団結しましょう!」

 佐久間さんが音頭を取って、乾杯をした。


「秋吉さん、今日は主役だから楽しんでくれないと困るからね」
「お気遣いありがとうございます」

 佐久間さんと一緒にプロジェクトに携わっている男性社員も、気さくに話しかけてきてくれたりして、肩の力が抜ける。
 中途入社して一年も経たないのに社長室に異動したけれど、誰も仕事のことで僻まないし、ちゃんと評価もしてもらえてやりがいがある。
 こんなに素敵な企業を築いた陽太くんは、本当にすごい人だと思う。
 そんな彼が私の恋人だなんて、幸せすぎて怖いくらいだ。


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