君を愛していいのは俺だけ
私の隣には、陽太くんが座っている。さらにその隣には佐久間さんがいて、ふたりは仕事の話を始めてしまった。
「五月のこの予定は、進めて大丈夫ですか?」
「あぁ、構わないよ」
彼が持ち歩いているタブレットがテーブルの上に置かれ、先々のスケジュールが表示されているのが見える。
社長室の一員になったとはいえ、彼の予定のすべてを閲覧する権限までは与えられていない。
おそらく非公開予定の話をしている彼らの声に耳を傾けてしまう。
「では、そのように先方には話しておきます。来週、別件で社へご挨拶にいらっしゃるそうなので、そちらも合わせて進めておきます」
いったいなんの予定なのか分からないけれど、近々来客があるということだけは分かった。
その相手が関わっている重要なことが予定されているのは間違いないだろう。