君を愛していいのは俺だけ
「せめて面会だけでも」
「無理だよ。だけど、ちょっと頼まれてほしいことがある」
佐久間を手招いて、ソファに向かい合って座るなり、俺は九人目の相手の写真や釣書を彼に返した。
彼は、断りを入れなくてはいけない上に、俺から頼みごとをされると聞いて、諦めに似たため息をついた。
「この縁談と同日同時刻、同じ場所を予約しておいてほしい。もちろん、先方に断りを入れてから」
「……どういうことですか?」
「彼女にプロポーズしようと思うんだ」
俺の言葉に驚いた彼は、数秒してから微笑みを浮かべた。
「そういうことでしたら、なんなりとお申し付けください」
「助かるよ」