君を愛していいのは俺だけ
「っ……陽太くん、近い」
「いいじゃん。他に誰もいないんだし」
背中から私を抱きしめるのが好きな彼は、耳元で呟く。
抱きしめられると、今でも鼓動が大きく鳴る。
慣れることなんてきっとないんだろうな……。
初めて会ったあの時も、思いがけない出来事で再会した時も。
働いている彼の姿を見た時も、私を抱きしめてくれる時も。
言葉にはできない想いがいつも胸の奥にある。
「陽太くん」
「ん? どうした?」
今年最初の月明かりの下なら、正直に言葉に乗せられる気がして。
「あのね、いつも想ってたことなんだけど……っ!?」
少し振り向いて、彼に告げようと思っていた声がキスで封じられた。