君を愛していいのは俺だけ
仁香って、言ったよね?
私のこと、秋吉さんじゃなくて、仁香って……。
「陽太くん……」
立ち上がってベッドに座り、枕をギュッと抱きしめた。
今すぐ彼を追いかけて、背中から抱きつきたい。
それくらい嬉しくて……涙で目が潤む。
名前を呼んでくれた時の微笑みは、あの頃と同じだった。
ドアが閉まる瞬間、小さく手を振ってくれるのも。
数分だけでいいから、時間を巻き戻したい。
それができたら、勇気を出して手に触れるくらいはしてみたいな。
そしてもう一度、「おやすみ、仁香」って言ってほしい。
恋人でもなく友達でもない、今のふたりの間にある距離は、とても不思議なもの。
――陽太くん。この再会に縁を感じていてくれるなら、今の気持ちを聞かせてほしいよ。