イジワル騎士団長の傲慢な求愛
「で、セシル」
シャンテルが期待に満ちた眼差しをセシルへと向けた。
「お相手は、フランドル伯爵家の、どちらなの?」
「『どちら』?」
「ルシウス様です」
間髪いれず答えたのはフェリクスだった。
「縁談の申し込みがあったのは、フランドル伯爵家の次男・ルシウス様です」
「ルシウス……様?」
「ええ。先日お会いしたルーファス様の双子の弟君にあらせられます」
「双子!?」
いっそう困惑するセシルに、フェリクスは深く頷く。
ルーファスとそっくりな髪色と瞳をした人物がもうひとりいるというのだろうか。
「とにかく、セシル様がこの縁談に異論ないのであれば、伯爵と相談して――」
「ちょ、ちょっと待って! 相談もなにも……」
現実的に考えて、父が了承するとは思えない。
なにしろセシルにローズベリー家嫡男・アデルとして生きることを命じたのは他でもない父・セドリック伯爵その人なのだから。
「お父様が縁談を受けるなんて言うわけないじゃない!」
「……その件なのですが、セシル様。実は――」
シャンテルが期待に満ちた眼差しをセシルへと向けた。
「お相手は、フランドル伯爵家の、どちらなの?」
「『どちら』?」
「ルシウス様です」
間髪いれず答えたのはフェリクスだった。
「縁談の申し込みがあったのは、フランドル伯爵家の次男・ルシウス様です」
「ルシウス……様?」
「ええ。先日お会いしたルーファス様の双子の弟君にあらせられます」
「双子!?」
いっそう困惑するセシルに、フェリクスは深く頷く。
ルーファスとそっくりな髪色と瞳をした人物がもうひとりいるというのだろうか。
「とにかく、セシル様がこの縁談に異論ないのであれば、伯爵と相談して――」
「ちょ、ちょっと待って! 相談もなにも……」
現実的に考えて、父が了承するとは思えない。
なにしろセシルにローズベリー家嫡男・アデルとして生きることを命じたのは他でもない父・セドリック伯爵その人なのだから。
「お父様が縁談を受けるなんて言うわけないじゃない!」
「……その件なのですが、セシル様。実は――」