イジワル騎士団長の傲慢な求愛
「いったいなにがあったのですか!」
セシルが自室のベッドで医者を待っていると、そこへフェリクスとシャンテルが飛び込んできた。
フェリクスはセシルの土で汚れたドレスと、ベッドの上に投げ出された右足を見て呆然とする。
「セシル様、大丈夫ですか! 今、医者を呼びに行かせましたが、到着までもうしばらくかかるかと」
「大丈夫。少し足を捻っただけだから」
「ですが……襲われたというのはいったい……」
困惑するフェリクスに、ベッドの脇に立っていたルシウスが冷静に答えた。
「庭園にいたところ、何者かが矢を放ってきたのです」
「……まさかそんな……敷地内で命を狙われるだなんて」
フェリクスは血の気の引いた顔でルシウスに深く頭を下げた。
「申し訳ございません。ルシウス様まで危険に晒してしまい――」
「そんなことはかまいません。それより、今ルーファスが現場を調べに行っているのですが――」
そこへ、ルーファスが戻ってきた。手には一本の矢を持っている。
「回収できた。矢じりには触るな。毒が塗ってあるかもしれない」
そう警告すると、その矢をフェリクスへと差し出した。
「この羽の部分の紋章に心当たりは?」
「……これは、ヴァイール伯爵の。ではやはり一連の騒動はヴァイール伯爵が」
「紋章つきの矢で暗殺する間抜けはいないだろう。まるで犯人に仕立て上げられているように感じるが」
「それもそうですね」
ルーファスの真っ当な指摘に、フェリクスは唸る。
セシルが自室のベッドで医者を待っていると、そこへフェリクスとシャンテルが飛び込んできた。
フェリクスはセシルの土で汚れたドレスと、ベッドの上に投げ出された右足を見て呆然とする。
「セシル様、大丈夫ですか! 今、医者を呼びに行かせましたが、到着までもうしばらくかかるかと」
「大丈夫。少し足を捻っただけだから」
「ですが……襲われたというのはいったい……」
困惑するフェリクスに、ベッドの脇に立っていたルシウスが冷静に答えた。
「庭園にいたところ、何者かが矢を放ってきたのです」
「……まさかそんな……敷地内で命を狙われるだなんて」
フェリクスは血の気の引いた顔でルシウスに深く頭を下げた。
「申し訳ございません。ルシウス様まで危険に晒してしまい――」
「そんなことはかまいません。それより、今ルーファスが現場を調べに行っているのですが――」
そこへ、ルーファスが戻ってきた。手には一本の矢を持っている。
「回収できた。矢じりには触るな。毒が塗ってあるかもしれない」
そう警告すると、その矢をフェリクスへと差し出した。
「この羽の部分の紋章に心当たりは?」
「……これは、ヴァイール伯爵の。ではやはり一連の騒動はヴァイール伯爵が」
「紋章つきの矢で暗殺する間抜けはいないだろう。まるで犯人に仕立て上げられているように感じるが」
「それもそうですね」
ルーファスの真っ当な指摘に、フェリクスは唸る。