イジワル騎士団長の傲慢な求愛
美しいという噂は、どうせ根も葉もないものだろうと思っていた。人は目に見えないものに幻想を抱く。
そもそも、社交界に出てこないなら、誰も会ったことがないはずなのに、どうして美しいとわかるのか。
けれどそれはけっして尾ひれのついたいい加減な情報ではなくて、聞き及んでいたとおりの美しさだった。
しかも、社交界に姿を見せず、仮面舞踏会に足を運ぶなんて。
確かにダンスは下手だったが、言うほど病弱そうにも見えない。
彼女に対して、本気で興味を抱き始めるルーファス。
そんな折、宮廷で開かれた会合で、彼女の弟の姿を目にした。
間近で見て、さらに驚く。彼女に瓜二つではないか。自分のように双子の姉弟なのだろうか。
それにしても、男女という性別差があるにも関わらず、身長や体型まで同じだというのは考えにくい。
その細い腕、柔らかな腰のくびれ。
強姦に襲われ、はだけた胸にあるほくろを見て、確信した。
そっくり、などではない。彼は彼女、本人だ。
なぜ男装をしているのか、理由は不明だが、次女が社交界に出て来ないわけについてはこれで説明がつく。
身体が弱くて出れないのではない。弟を演じているが故、表舞台に立てないのだ。
必死に男の振りをしている彼女。それが滑稽でもあり、健気でもあった。
ルーファスの心はますます彼女という存在にくすぐられる。
少しつついただけで赤くなり怒り出す彼女を、もっと困らせてやりたい。
彼女は蕾だ。美しく花開く前の姿。咲き誇る彼女を、まだ誰もしらない。
自分だけの花でいい。他の男になど気づかせてやるものか。
ルーファスはいつの間にか、セシルを抱くその手を放したくないと思っていた。
そもそも、社交界に出てこないなら、誰も会ったことがないはずなのに、どうして美しいとわかるのか。
けれどそれはけっして尾ひれのついたいい加減な情報ではなくて、聞き及んでいたとおりの美しさだった。
しかも、社交界に姿を見せず、仮面舞踏会に足を運ぶなんて。
確かにダンスは下手だったが、言うほど病弱そうにも見えない。
彼女に対して、本気で興味を抱き始めるルーファス。
そんな折、宮廷で開かれた会合で、彼女の弟の姿を目にした。
間近で見て、さらに驚く。彼女に瓜二つではないか。自分のように双子の姉弟なのだろうか。
それにしても、男女という性別差があるにも関わらず、身長や体型まで同じだというのは考えにくい。
その細い腕、柔らかな腰のくびれ。
強姦に襲われ、はだけた胸にあるほくろを見て、確信した。
そっくり、などではない。彼は彼女、本人だ。
なぜ男装をしているのか、理由は不明だが、次女が社交界に出て来ないわけについてはこれで説明がつく。
身体が弱くて出れないのではない。弟を演じているが故、表舞台に立てないのだ。
必死に男の振りをしている彼女。それが滑稽でもあり、健気でもあった。
ルーファスの心はますます彼女という存在にくすぐられる。
少しつついただけで赤くなり怒り出す彼女を、もっと困らせてやりたい。
彼女は蕾だ。美しく花開く前の姿。咲き誇る彼女を、まだ誰もしらない。
自分だけの花でいい。他の男になど気づかせてやるものか。
ルーファスはいつの間にか、セシルを抱くその手を放したくないと思っていた。