ブザービーターは君のため
9.馬鹿と悪趣味
部活が終わって人が居なくなった時間。
この時間になると再び体育館からボールの音がした。
ボールの弾む音とキュッキュッとシューズが擦れる音がして、ボールが放たれればシュッと軽い音と共にボールが吸い込まれていく。
誰もいない体育館。
1人でいつもバスケをしていた。
「ねぇ。
1人より2人のが楽しいんじゃない?」
入口のところにチビがいた。
2人…ね。
ドリブルを始めるとボールを奪うつもりなのか行く手を塞ぐ。
いや。塞いだつもりという方が正しかった。
軽くかわしてシュートする。
「あー。やっぱり無理かぁ。」
悔しそうな声を上げるチビがバタリと倒れて天を仰いだ。
「お前…下手。」
ムッとした顔をしたところを見ると自分は上手いとでも思っていたのか。
「だったら教えてよ。顧問なんでしょ?
部活に来てよ。」
チビを無視してドリブルを始めた。
懲りずに後を追いかけてくるチビに追い付かれる前にシュートを放つ。
「えー。ドリブルしてるのに追い付けないなんてありえない。」
息を切らしてへたり込むチビを見下ろして、ふふんと鼻で笑ってやった。
「…感じ悪っ。帰る。」
諦めたらしいチビがスカートの端を払って立ち上がった。
俺に素人がスカートで対抗しようとするのが生意気。
「…俺、監督。」
「え?」
立ち去る背中が振り返った。
驚いた顔にちょっと優越感を感じる。
「監督って呼べるなら。全員。」
チビの返事を聞くのが面倒でまたドリブルを始めた。
「…絶対だからね!!!!!」
ボールの音に負けない声がして、シュートの後に振り返ると誰もいなかった。
「…置いてかれた……。」
一緒に帰るとかないわけ?
浮かんだ思考に頭をぶんぶんと振って違う言葉を吐き出した。
「馬鹿だろ。」
もう一度ドリブルをして、シュートを放つ。
ガッとゴールの端に当たったボールは弧を描いて飛んでいく。
「外すなんて珍しい。
やっぱなまってるな。のんちゃん。」
チビの代わりに大悟が立っていた。
この時間になると再び体育館からボールの音がした。
ボールの弾む音とキュッキュッとシューズが擦れる音がして、ボールが放たれればシュッと軽い音と共にボールが吸い込まれていく。
誰もいない体育館。
1人でいつもバスケをしていた。
「ねぇ。
1人より2人のが楽しいんじゃない?」
入口のところにチビがいた。
2人…ね。
ドリブルを始めるとボールを奪うつもりなのか行く手を塞ぐ。
いや。塞いだつもりという方が正しかった。
軽くかわしてシュートする。
「あー。やっぱり無理かぁ。」
悔しそうな声を上げるチビがバタリと倒れて天を仰いだ。
「お前…下手。」
ムッとした顔をしたところを見ると自分は上手いとでも思っていたのか。
「だったら教えてよ。顧問なんでしょ?
部活に来てよ。」
チビを無視してドリブルを始めた。
懲りずに後を追いかけてくるチビに追い付かれる前にシュートを放つ。
「えー。ドリブルしてるのに追い付けないなんてありえない。」
息を切らしてへたり込むチビを見下ろして、ふふんと鼻で笑ってやった。
「…感じ悪っ。帰る。」
諦めたらしいチビがスカートの端を払って立ち上がった。
俺に素人がスカートで対抗しようとするのが生意気。
「…俺、監督。」
「え?」
立ち去る背中が振り返った。
驚いた顔にちょっと優越感を感じる。
「監督って呼べるなら。全員。」
チビの返事を聞くのが面倒でまたドリブルを始めた。
「…絶対だからね!!!!!」
ボールの音に負けない声がして、シュートの後に振り返ると誰もいなかった。
「…置いてかれた……。」
一緒に帰るとかないわけ?
浮かんだ思考に頭をぶんぶんと振って違う言葉を吐き出した。
「馬鹿だろ。」
もう一度ドリブルをして、シュートを放つ。
ガッとゴールの端に当たったボールは弧を描いて飛んでいく。
「外すなんて珍しい。
やっぱなまってるな。のんちゃん。」
チビの代わりに大悟が立っていた。