ブザービーターは君のため
10.千尋side:来てもらう方法
「今日は千尋ウキウキしてるね。」

「うん!のんちゃんを部活に来てもらえる方法を手に入れたんだ~。
 バスケ部のみんなが監督って言えばいんだって。」

「へぇ。絶対に来ないんだと思ってた。」

「…どうして?」

 柚羽は賢い。
 この数日で痛いほど分かった。
 考えなしの私とは雲泥の差があること。

「千尋から聞いた今までの話を総合して。
 昔のことを思い出すのは嫌だけどバスケは好きって感じかなって。」

「昔のことを思い出す?」

「プロとしてやってた時につらい思い出でもあるんじゃない?
 気を失うくらいに。」

 そうか。きっとそうだ。

「どうしよう。柚羽。」

 さっきまで弾んでいた気持ちは急激にしぼんでいく。

「本人が監督って言えばいいって言ってるなら、みんなにそう言えばいんじゃない?」

「そうだけど…そうだよね!
 そうだ!そうだー!!
 よし!そうする!!」

「千尋はポジティブだなぁ。」

 呆れた声の柚羽にへへへっと笑顔を向けた。





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