ブザービーターは君のため
 涙が出そうになって、少しでものんちゃんを喜ばせたくて思いついたことを打ち明けた。

「私、のんちゃんのためにブザービーター捧げるよ。」

「…やっぱり馬鹿。できるわけない。」

「なんで!レギュラーにもなったし!!」

「レギュラー嘘だもん。」

「嘘じゃないよ!
 もー!好きっていう方が嘘でしょ!?」

 ムッとした顔に「しまった」と思っても遅かった。

「俺、嘘言わない。
 ……………………………千尋、好き。」

 え?と思っている間に近づいた顔は初めて近くで見た…という間抜けな感想を残して、そっと唇と唇が触れた。

 切れ長の目と目が合ってドキリとする。

「これでも信じないなら…。」

 もう1度近づいてきた顔をさすがに押しのけると「イテテ…」と胸を押さえた。

「ご、ごめ…。」

 近づいた千尋の唇が盗まれる。

「…好き?」

 すぐ近くで聞かれる甘い囁き。

 なのにやっぱりカタコトののんちゃん。
 それがおかしいのに笑えない。

 騙し討ちとか痛いとか嘘なんじゃん!

「…キライ!」

 見開いて目を丸くしたのんちゃんにやっと笑うことができた。





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