守りたいもの
「な、なんで?
大学はどうするの?」
「辞める…」
「母さんのとこに行ってどうするの?」
うん…だよね?
不思議だよね。
「あのね…誰にも言わないでほしいの。
約束できる?」
「あ、ああ…」
お父さんを説得する力は、今の私にはないから。
「あのね、私…赤ちゃん産みたいの。」
「はぁ?」
柊矢は、まだ混乱してるのか口をぱくぱくさせている。
「ちょ、ちょっと待て。
静流くんの赤ちゃんができて、産みたいと。
それで、母さんのとこに行きたいってか?」
「うん…」
「静流くんは、知らないのか?
で、自分は婚約者がいるって…ふざけんなよ!
姉ちゃん一人で産んで、姉ちゃんの人生ぶち壊しじゃねぇかよ!」
「それでも!
産みたいの!」