守りたいもの


「な、なんで?
大学はどうするの?」


「辞める…」


「母さんのとこに行ってどうするの?」


うん…だよね?

不思議だよね。


「あのね…誰にも言わないでほしいの。
約束できる?」


「あ、ああ…」


お父さんを説得する力は、今の私にはないから。


「あのね、私…赤ちゃん産みたいの。」


「はぁ?」


柊矢は、まだ混乱してるのか口をぱくぱくさせている。


「ちょ、ちょっと待て。
静流くんの赤ちゃんができて、産みたいと。
それで、母さんのとこに行きたいってか?」


「うん…」


「静流くんは、知らないのか?
で、自分は婚約者がいるって…ふざけんなよ!
姉ちゃん一人で産んで、姉ちゃんの人生ぶち壊しじゃねぇかよ!」


「それでも!
産みたいの!」



< 11 / 29 >

この作品をシェア

pagetop