守りたいもの



小さな体にいっぱいの力を込め、真っ赤な顔で泣く我が子を抱きしめた時、私はいっぱいの涙を流した。


泣くのはもうお終い。


あの人がいなくなって流した涙は、全く枯れることはなかった。


あの人を思い出しては泣き、この子がいるお腹を撫でては泣き…


泣いてばかりだった私は、どれだけこの子を不安にさせてたのかな?


でも、もう大丈夫。


私は母になった。


私は、この子のママだ。


これからは、この子と笑って生きて行く。


次に泣くのは、嬉し涙にしよう。


そう決意し、この子を抱きしめた。


それが、五年前の春のこと。

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