守りたいもの
「静流君なの?
どうして?
静流君が父親なら、どうして言わないの?」
私は、静流と別れる時の経緯を話した。
秘書の柳田さんから言われたこと。
婚約者がいたこと。
身分が違うと言われたこと。
「だからね、静流と結ばれないならどうしても産みたかったの。
静流から貰った宝物を、私は産みたいと思った。
鷹斗君が知れば、必ず静流にも話す。
だから、凛子にも言えなかった。
ごめんね、黙ってて。」
凛子は、そっかと一言だけ言った。
そして…
「身分が違うってのは、わかる気がする。
私もね、鷹斗と別れた理由がそれ。」
凛子と鷹斗君の別れも、身分の違い?
今どき、本当にそんなもんあるんだなと思う。
凛子の家は、母子家庭。
パパさんは、凛子が10歳の時に亡くなった。
だから凛子は、勉強を頑張って母校である進学校へ進んだ。
そして、推薦で看護大学へと進学した。