守りたいもの
凛子は、瞳に涙を浮かべながら続けた。
「そしたらあいつ、なんて言ったと思う?
どっちも大切だ!だってさ。
そこは嘘でもいいから凛子だ、って言ってほしかったよ。」
それから二人はぎくしゃくし、別れたらしい。
「亜矢を探すのだって、あの子に邪魔されて。
まぁ、一人で探し始めたからこうして亜矢に辿り着いたんだし。」
鷹斗君が最後に凛子に言ったことは、いなくなったやつはほっとけ、だった。
「凛子、ありがとう。
私のとこに来てくれて。」
「亜矢…静流君には内緒なのね。
話すつもりもないのよね?」
「ないよ。
たとえ、静流が私を見つけたとしてもこの子のことは言わない。
だって、男の子だったら跡継ぎだとかうるさそうだし。
この子は、私の子なの。」
「わかった…私も協力するよ。
てかさ、今は春休みだから少しここにいてもいい?」
「いいよ。
柊矢もいるんだよ、ここに。」
そう言うと、凛子はとっても喜んだ。