守りたいもの


結局、まだ生まれないからとお父さんとお母さんは帰って行った。

私に付き添ったのは、凛子。


亜矢頑張れ、亜矢頑張れ、と私が陣痛の合間にうとうとしてても凛子は寝ずに私を見ていてくれた。


日付が変わる頃、私の陣痛はもっと強いものになった。


そして空が白くなってきた頃、私は破水した。


破水が合図だとでも言うように、陣痛は今までと変わり息みたい衝動に駆られる。

息みを逃して、と言われるがそれがまた辛い。

凛子は医師に言われ家に連絡。

すぐに駆けつける家族。


「子宮口が全開ですので、分娩室に行きます。」


私はベッドのまま、分娩室へと入った。


それからは、あまり覚えてない。

痛みの波がきたら息む。

痛みの波どころか、ずっと痛い。


「赤ちゃんも頑張ってるよ、だからママも頑張って!」


その言葉で、少しだけ冷静になれたかもしれない。


< 26 / 29 >

この作品をシェア

pagetop