守りたいもの
静流は海堂グループの柱を支える重要な人間になるため、9月からイギリスの大学に編入が決まったということ。
イギリスに行くことを渋ってるのは、私の存在があるからだと秘書の柳田さんは言った。
そして、静流には大学卒業後に結婚する婚約者もいるという。
「身分の違いは、藤森様が一番苦労することです。
静流様も、そんな苦労を藤森様にはさせたくはないと思います。」
その言葉が、重く私にのしかかった。
静流が私のせいで苦しむなんて、私は見たくない。
「わかりました…静流と話してみます。」
そう言った私に、柳田さんは申し訳ありませんと頭を下げて帰って行った。