再会の街
再会の街
 広いこの街の中で、人は一体どれだけの人と出会っているのだろう。

 歩く道で、電車の中で、学校や会社の中で。

 そんな中で、こうして再び会えたのは、ただの偶然だろうか?

 それとも運命だったのか。



 駅への道をひたすら走っていた。

 待ち合わせは10時。

 どういうわけかこういう日に限って、出かけに電話が鳴ったりするのだ。

 しつこくベルを鳴らし続ける電話に出てみれば、ただのセールスの電話だったりする。

 どうにかその電話を切って、ハッと時計を見ると、約束の時間まであと10分しかない。


(もう。今まで私のほうが時間に遅れたことなんて、なかったのに)


 路地を左へ曲がったところで、何かにぶつかった。

 走っていた勢いのままだったので、跳ね飛ばされて、そのまま尻餅をついた。


「イタタタ・・・」


 お尻をさすりながら、顔を上げた。

 目の前には、自分と同じように尻餅をついている人がいる。


「大丈夫ですか?」


 そう言ってその人は立ち上がって、こちらへと手を差し出した。


「だ、大丈夫です」
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