再会の街
 店員を呼んで、飲み物を頼んだ。

 置いていった水を半分くらい、一気に飲んだ。

 むせてしまった。


「大丈夫ですか?」


 目の前で心配そうな顔をしている。


「だ、大丈夫です」


 昨日から大丈夫ですを連発しているような気がする。


「そうだ。忘れないうちに、渡しておきますね」


 テーブルに手帳が置かれた。


「すいません。ありがとうございます」

「えーと、持ち主を確認するために、中を見させていただいたら、俺の名前と電話番号が書いてあって、もうびっくりで」

「え?」

「持ち主の名前を見たら、もっとびっくりで」

「ええっ?」


 目の前でにっこりと笑われてしまう。


「まさか、君だったとはね」


 ま、まさか。
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