再会の街
「えーっ」


 思いきり叫んでしまった。

 周りの人が、一斉にこちらを向いた。

 タイミング悪く、店員がレモンティーを持ってきた。

 遠慮がちにテーブルに置くと、その場から立ち去っていった。


「昨日ぶつかった時は、君だと気付かなかったけれど、手帳の名前を見てわかった。俺の名前も書いてあったからね」


 もう、間違いない。

 あの人だ。

 高校1年の時に好きだった、今でも忘れられないあの人が、目の前にいる。


「こんな風に会うなんて、思いもしなかったな」


 この街に住んで、6年が経とうとしている。

 もう、二度と会うことはないと思っていた。


「会社の転勤で、1年前からこの街にいるんだ。君の引っ越した所を知らなかったから、もう会うこともないだろうと思っていたんだけどね」


 これは偶然か、運命の悪戯か。


「正直言って本当に驚いたよ。まぁ、こうして会って顔を見るまでは、確信が持てなかったんだけどさ」


 これは夢なのか、現実なのか。

 目の前で起きていることが、まだ信じられない。

 そのまま、顔を見つめたまま。
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