Love more gentle than a kiss
(そんなのだめじゃん! 死ぬなんて、嫌だ)
目の前で今か今かと、私が名を告げることを待ち望んでいるロナルド。彼のルートでは、私は必ず死亡してしまうエンドしかなかった。
そんな彼と関わってしまえば、きっと明るい未来など待っているはずがない。
どうにかして彼との接触を回避する方法を探さなければ。
既に今、接触してしまっているところだが、こればっかりは覆し様がないので、これからの対策を考えよう。
まず、ロナルドに名前を教えてはいけない。
これだけ印象的な出会いをしたのだ。顔を覚えられていないはずがない。その上に名前まで教えてしまえば、私は【憎たらしい女】の称号を得てしまい、名を聞いただけで舌打ちされることだろう。
それが原作の時点まで続けば、きっとこうなる。
『どうした! その傷、誰にやられたんだ! ……その名前は。くそっ、あの女が……許せねえ』
『彼女を傷つけた罪だ! はじめて会ったあの時、俺に名を教えたことが過失だったようだな。死ねえええっ!!』
なんて。
(駄目。絶対。もういいよ。『きみの名は?』状態でいい。もう永遠に知らなくていいよ)