初恋マニュアル
「友達でも……苦しくなること……あるの?」
そのまま終わらせても良かった会話なのに、私はどうしても気になってしまった。
どちらにしても苦しいなら、私はどっちを選択すればいいんだろう?
愛里はうなずくことで返事をすると、ゆっくりと話しはじめた。
「だって、考えてみて?友達なら、三浦くんに彼女ができたとしても、おめでとうって祝福しなくちゃダメなんだよ?もしかしたら、好きな人の相談とかされちゃったりするかもしれないし……そんなの美羽、たえられる?」
愛里の話は一理ある。
たしかにそうなったら悲しいし、苦しいかもしれないけど、だからって自分が彼女になるって想像もできない。
だいたい、彼女になれるかどうかもあやしいのに友達の域をこえたりしたら、たぶんもう……友達ですらいられない。
だったら……
「もし、そうなったとしても、ちゃんと祝福もするし、相談にものれる……と思う」
まだ恋なのかもわからない、こんな中途半端な気持ちで、愛里にあと押しされるのは気が重かった。
それに、そんな大事な話を私なんかに相談してくれたとしたら、逆に友達として信頼されてるみたいでうれしい気もする。