初恋マニュアル
出たとたんに、うるさい!と愛里にしかられた。


LINEにはだいぶなれたけど、着信はどうもなれない。



「ごめん、どうしたの?」



気を取り直して今度は少し小さめの声でそう聞いてみる。



「あのね?明日の夜、うちの近くの神社で夏祭りやるから、おいでよ」



「ほんと?行く行く!」



毎年、愛里に誘われて出かける夏祭りは、この辺でも有名でわりと大きな行事だったりする。


ほかの地域からもたくさん人が出てきて、かなりにぎわうのだ。


出店もたくさん出るし、私も夏になるたびに楽しみにしている恒例行事だった。


だけど正直、もしかしたら今年は誘ってくれないんじゃないかって、思ってた。


きっと部活の子たちを誘って、私はまたあのカラオケのときみたいに、仲間はずれなんじゃないかって。


だから、愛里が誘ってくれてすごくすごくうれしかった。



「じゃあ、明日、早めにおいで?実は親戚のおばさんが、たくさん浴衣くれたの!友達にも分けていいって言ってたから、美羽にも選んでもらおうと思って」



浴衣がもらえるって聞いて、テンションがあがる。


どんな柄があるんだろうって今から楽しみだった。
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