初恋マニュアル
だから最近は返事がくるまでスマホを見ながら待つことが多い。


私の返信に既読がつくとすぐにピコンと返信がきた。



【クラスとか部活のやつらと行く予定だよ?向こうで会えるかもね?】



――やっぱり来るんだ!やばい、顔のニヤニヤが止まらないかも!



あの日、カフェで会って以来の本物の三浦くんに会える。


LINEはドキドキはするけれど、顔が見えないから現実なのか空想なのか、たまにわからなくなりそうなことがあった。


たしかにそこに文字は残ってて、三浦くんのものなんだけど、現実味がないというか……


三浦くんのやわらかな話し方とか、やさしそうな笑顔はLINEじゃわからない。


もちろん文面は彼らしくやさしくて、たまにスタンプも混ぜてはくれるけど、ニュアンスまでは伝わってこない。



【三浦くんも来るんだね!明日会えるのを楽しみにしてます】



そう返信して、スマホをぎゅっと抱きしめる。


こんな風に素直に会えるのが楽しみだなんて言えちゃうのも、LINEならではだ。


愛里と三浦くん。


二人と夏祭りが楽しめるなんて夢みたいだ。


こないだまで一人でいじけてたのがうそみたいに、私は今の幸せをかみしめていた。
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