初恋マニュアル
ようやく着いた愛里の家は昔とちっとも変わってなくて、愛里のママがきちんと手入れした草花がきれいに咲きほこっていた。


夏は特にヒマワリがたくさん咲いていて、去年まではよくおみやげに持たされたものだった。


ふと、玄関の前に違和感を覚えて立ち止まる。



――なんだろう?何かがちがうような気がする……



だけどそれがなんなのかわからないまま、私はチャイムを押した。



「はい」



インターホンごしに返事をする声は、なつかしい愛里のママの声。



「あ……の、丸山ですけど……」



「あら!美羽ちゃん?ちょっと待ってて?今、開けるね?」



私の返事を待たずにインターホンは切れて、玄関にバタバタと走ってくる音が聞こえてきた。


すぐにガチャっとドアが開いて、愛里のママが顔を出した。



「美羽ちゃん、久しぶりねぇ?少し背が伸びたんじゃない?」



やさしい笑顔でうれしそうにそう言ってくれる愛里のママは、相変わらずきれいで若い。
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