初恋マニュアル
気を取り直してあらためて浴衣を見てみると、ピンクに紫、ブルーに薄い緑と、色とりどりだ。


柄も金魚だったり、牡丹だったり、それぞれちがう雰囲気になっている。


その中でも私の目を引いたのは、薄いピンクの浴衣だった。金魚の柄で、すごく可愛い。


帯は浴衣の色によく映える赤がそろえて置いてある。


おもわず手に取って見てみると、愛里がすかさず声をかけてきた。



「美羽、それにする?」



そう言われて一瞬悩む。


ピンクなんて子供っぽいかもと、手にしていた浴衣からパッと手を放した。



「どうしよっかな……」



ほかのにも一応目を移してみる。


でも、ピンク以外はどれも大人っぽくて、なんとなく自分には似合わないような気がした。



「丸山さん、色が白いからピンクとか似合ってていいね?」



さっきのうでをつかんできた子が、そう声をかけてくる。


色が白いことはコンプレックスだから、あまり言われたくないのに。



「うん、すごく可愛い。丸山さんの雰囲気にあってるよ?」


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