初恋マニュアル



「じゃあ、私がピンクでもいいかな?」



可愛いって言ってくれた子が、遠慮がちにそう言った。



「うん、いいよ。美羽は緑のがいいみたいだし、あとは好きなの選んじゃって?」



愛里は、私はあまったのでいいからと言い残して、ママを呼びに下に行ってしまった。


その場に残されたのは私と、名前も知らない愛里の友達二人だけ。


緑のがいいと言ってしまった手前、私は仕方なくそれを自分の方に引き寄せた。


これはこれで可愛いけど、どちらかと言えば色が白くてうらやましいと言ってくれたあの彼女のイメージに近い。



「あの……丸山さん、ほんとにそれでいいの?」



ピンクを選んだ彼女が、ためらいがちにそう話しかけてくる。


もう終わった話だと思っていた私は、おどろいてその子を方を見た。



「え……なんで?」



不思議に思ってそう聞き返すと、少し気まずそうにもう一人の彼女と顔を見合わせてる。



「だって……ねぇ?」



「うん……」



――なんなの?なにが言いたいんだろう?


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