初恋マニュアル
二人してなにか知ってるようなくちぶりだ。



「……もしかして、本当はどれにするか決まってたってこと?」



さっきから聞きたくて聞けなかったこと。


もうこうなったら聞いてやれという気持ちになる。


でも、そうだって言われるとばかり思っていた彼女たちの答えは、意外にもそうじゃなかった。



「や、あの……そうじゃなくてね?」



「うん、その逆」



――逆?逆ってどういう意味なんだろう?



どうにも理解できなくて、私は首をかしげた。



「実は愛里には内緒にしてって言われてたんだけど……」



言っていいのかを迷うように、一人がそう話しはじめる。


するとそれを受けるように、もう一人も続けた。



「丸山さんは、絶対ピンクが似合うからって、愛里……言ってたんだよね?」



それに対してあいづちをうちながら、最初に話しはじめた彼女が口を開く。



「それできっと丸山さんもピンクを選ぶと思うから、それ以外で選んでねって……ねぇ?」


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