初恋マニュアル
「うん……そう」
二人がお互いに顔を見合わせながら、うんうんとうなずきあってる。
「……え」
――愛里が?私のために?
ぼうぜんとしていると、追い打ちをかけるように、二人がそれぞれ私に話しかけてくる。
「さっき、丸山さんが緑の浴衣を選んだときも、愛里……微妙な顔してたし……」
「うん……丸山さんも、本当はピンクにしたかったんじゃないの?」
そう言われて、なにも言えなくなった。
バカみたいだ。
私は相変わらず子供みたいにすねて、意地を張ってただけ。
愛里はちゃんと、私のこと考えてくれてたのに……
「あ……あの!もしいやじゃなかったら、やっぱり……ピンクのと交換してもらえる……かな?」
愛里の言うとおり、本当は私も一目でピンクが気に入ってた。
変なプライドと、彼女たちへのやきもちが、私を素直にさせてくれなかっただけ。
ピンクを選んだ彼女は、うれしそうにほほえんで、良かったぁとホッとしたようにつぶやいた。
本当はこんな黒い肌にピンクなんか似合わないって思ってたの、と……