初恋マニュアル
少し前を歩く夏帆ちゃんと由宇ちゃんを見る。


二人もそれぞれ選んだ浴衣はよく似合っていて、やっぱり緑にすれば良かったかななんてちょっとだけ思ってしまった。


でも大きな菊柄の緑の浴衣に、ラメの入った黒の帯なんて、自分に似合わないことは見ればわかる。



背が高くて大人っぽい夏帆ちゃんにぴったりだ。


白地に牡丹模様の浴衣を来てるのは由宇ちゃん。紫の帯がまた可愛くて、由宇ちゃんのほんわかした雰囲気にすごく合ってる。


みんなそれぞれ似合っていて、もらった浴衣を選んだだけにはとても見えなかった。


だから当然、私の選択肢もこの浴衣しかなかったわけで……


すごく気に入ってるし、すごく可愛いと思うけど、みんなに比べて幼い自分はどうやっても変えられない。


ただ、愛里が私に似合うって選んでくれたことだけはすごくうれしかった。



「美羽ちゃん、すっごく可愛いよ?」



前を歩いていた由宇ちゃんが、クルッと振り返ってそうほめてくれる。



「うん、やっぱり愛里が選んだだけあるよね?」



夏帆ちゃんまでもがそう言って、私を上から下までながめてくる。

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