初恋マニュアル
「ん?なに?」
「ううん、なんでもない」
なんとなく……なんとなくだけど、愛里に三浦くんとLINEしてることを知られたくなかった。
だからつい、三浦くんたちが夏祭りに来るかもしれないってことを、言えずにのみこんでしまう。
「あ!」
「なに?どうしたの?夏帆」
突然、反対方向を見つめながらさけんだ夏帆ちゃんに、愛里が食いつく。
「あれ、陸上部の男子じゃない?」
今度は指をさしながらそう言った夏帆ちゃんの目線のその先には……
――三浦くんだ!
やっぱり来てたんだ。
同じクラスで見たことのある男子や、見たことのない男子も混じってる。
ざっとみて、六人くらい?
「あー!ほんとだ!……美羽、三浦くんもいるよ?」
最初は夏帆ちゃんに、最後は私の耳元で小さくささやく愛里。