初恋マニュアル
「……う、うん」
そう答えるだけでも精一杯だ。
まさか本当に会えるなんて……
「やだ、ちょっ!どうしよう!」
三浦くんのことで頭がいっぱいで固まる私の横で、由宇ちゃんが急にそうさけんだ。
「どうしたの?」
愛里がおどろいたように由宇ちゃんに声をかける。
すると由宇ちゃんの視線の先に気づいた夏帆ちゃんがポツリとつぶやいた。
「あぁ……そっか。五十嵐もいるね?」
夏帆ちゃんの言葉に、由宇ちゃんの顔はみるみる真っ赤に染まっていく。
その顔を両手でかくすようにおおうと、やだ言わないで……と、はずかしそうに下を向いてしまった。
「なになに?由宇ちゃんは、五十嵐くんねらいだったんだ」
ひやかすようにそう言った愛里は、ニヤニヤしながら由宇ちゃんにグイグイせまってる。
「や、そうじゃなくて……ね?由宇ちゃん」
夏帆ちゃんがなにか知ってるみたいに、言葉に含みを持たせながら由宇ちゃんに同意を求める。