初恋マニュアル
「五十嵐、同じクラスなんだけどね?あんまり話したことないからって、友達からお願いします!みたいな?一応、保留みたいなもんかなぁ」
「そうなんだぁ。やるじゃん、由宇ちゃんも」
もうすっかり夏帆ちゃんと愛里の二人だけが盛り上がってて、私は少し気おくれしてた。
なんとなく夏帆ちゃんの後ろにかくれるように立ってる由宇ちゃんに目をやると、いたたまれないような顔をしてる。
「でね?五十嵐ってばそれから、由宇ちゃんにめっちゃ話しかけたりしててちょー健気なのぉ」
「じゃあ、今日の由宇ちゃん見たら、ほれなおしちゃうんじゃない?」
「言えてるぅ」
だれだって恋の話にはあこがれるし、興味はあるとは思うけど、本人そっちのけで盛り上がるのはなんだかちがう気がした。
「あ、あのさ!」
だからつい口をはさんでしまったのだ。
二人の会話が全然終わりそうにないから仕方なく。
「あんまり周りが盛り上がっちゃうと、由宇ちゃん……可哀想だよ」