初恋マニュアル
最後の方はだんだんと声が小さくなる。


こんな風に自分の意見を言うなんて初めてで、愛里が意外そうな顔をして私を見た。


そりゃそうだ、今まで愛里に意見したことなんかなかったんだから……


話を途中で切ってしまったから、なんとなく気まずくて愛里と夏帆ちゃんの顔が見れないでいると、愛里ははずかしそうにうつむく由宇ちゃんを見つけたのか、少しだけ目尻を下げる。



「あ……由宇ちゃん、ごめん。勝手に盛り上がっちゃってごめんね?」



おがむように手を合わせて、必死にあやまってる。


夏帆ちゃんも同じようにあやまると、由宇ちゃんはにっこり笑って夏帆ちゃんの背中からゆっくりと出てきた。



「あ、うん……いいよ、大丈夫」



そう言うと、私の方に小走りに近づいてきて、耳元でそっとささやいた。



「美羽ちゃん、ありがと。助かった」



返事の代わりに笑顔でうなずくと、由宇ちゃんはまた夏帆ちゃんの隣へと戻っていく。


私の隣に残るのは愛里だけ。


ちょっとだけ気まずいなぁと思いながらとぼとぼと歩いていると、愛里が急に横にいる私の方にグルンと顔を向けた。



「美羽……ごめんね?ちょっとふざけすぎちゃった」


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