初恋マニュアル
ペロッと舌を出す愛里も、やっぱり気まずかったみたいできちんと私にもあやまってくれる。


うん、と返事をしようとしたとき、愛里は意外なことを口にした。



「実はね?内緒だけど……五十嵐くんに頼まれてたの、由宇ちゃんのこと」



「えっ?そうなの?」



驚いた。


愛里はモテるけど、そんなにいろんな男子と親しくしてるイメージがなかったから……


もしかしたら、その五十嵐くんとやらが、同じテニス部だからって、むりやりたのみこんできただけかもしれない。


だけどじゃあ愛里は夏帆ちゃんに聞く前から知ってたってことになる。


不思議そうに愛里を見ると、まったく悪びれた風もなく肩をすくめて笑ってる。



「でもこれは脈ありだね?」



「え……なんで?」



「だって、あんなに真っ赤になって意識してるってことは、少なからず気になってる証拠でしょ?」



――愛里にはそんなことまでわかっちゃうの?



もしかしたら私のこともそう思ってるのかな?


まだ自分でも自分の気持ちなんかわからないのに……


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