初恋マニュアル
その中でも三浦くんはわりと背の高い方だからか、やたらと大人に見えた。


まるでみんなを引率する保護者みたいだ。


そんなことを想像しておもわずクスッと笑ってしまうと、それに気づいたらしい愛里が私の方を振り返った。



「美羽ってば、なにニヤニヤしてんの?」



「え!や……なんでもないよ?」



「ふうん?」



あきらかに意味ありげな表情で、私と先を歩く三浦くんたちとを交互に見比べる愛里。


由宇ちゃんの次は自分に矛先がきそうな予感に、私はわざと話題を変えながら愛里の隣にかけよった。



「そういえば、ゆうくんは元気なの?」


ゆうくんとは、中学の頃からつきあっている愛里の彼氏だ。


愛里の家庭教師をしていたゆうくんには、私も何度か会ったことがある。


やさしくてお兄ちゃんみたいな感じのわりとかっこいい人だった。



「ん?ゆうくん?あぁ……元気なんじゃない?」



「元気なんじゃないって……会ってないの?」



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