初恋マニュアル

心の中でそうさけびながら、あわあわとなにも答えられずに立ちつくす。



――どうしよう、どうしたら……



ちょっと怖そうな雰囲気の五十嵐くんにジッと見つめられて、泣きそうになった。


由宇ちゃんの手をギュッとにぎり返しながら、覚悟を決めて自分の名前を言おうと思ったそのとき――



「丸山？」



聞き覚えのある高めの優しい声が私の名を呼んだ。


ハッとして顔をあげると、やっぱりそこには三浦くんが立ってて……



「五十嵐、なにいじめてんだよ」



笑いながら五十嵐くんを小突いてる。



「いじめてねぇよ。失礼だな」



口をとがらせながら三浦くんを小突き返す五十嵐くんはすっかり子供みたいで、さっきの怖さはもう感じられなかった。



「ごめんね？丸山と……杉下？」



私の横でうつむいたままの由宇ちゃんの顔をのぞきこんで、三浦くんは確認するように名前を呼ぶ。