初恋マニュアル
五十嵐くんの言う意味はよくわかる。


きれいで目立つタイプの愛里と、地味な私とでは似合わないって言いたいんだろう。


だけど、わざわざ三浦くんの前で言ってほしくなかった。


そんなことは当の本人が一番よくわかってるつもりだ。


はずかしさとくやしさで泣きそうになったとき、三浦くんが納得したように口を開く。



「たしかに真逆のタイプかもね?」



ショックだった。


三浦くんにまでそんな風に言われるなんて……


なんとなく、三浦くんはいつでも私の味方で、助けてくれるのが当たり前みたいに勝手に思ってたから。


泣くまいとくちびるをぐっとかみしめると、そのぶん由宇ちゃんとつないだ手がふるえるのがわかった。



「美羽……ちゃん?」



心配そうに私の顔をのぞいた由宇ちゃんは、きっといろいろと察してくれたんだと思う。


キュッと手をにぎり直して、そっと自分の後ろにかくすようにかばってくれた。



「須藤は元気なイメージだけど、丸山さんだっけ?は、なんか清楚な感じだもんね?」



五十嵐くんの言葉は、私をすごくおどろかせた。


三浦くんもそうそうなんて、あいづちをうってる。
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