初恋マニュアル
とっさに助けようと手を伸ばしたけれど、意外にもいやがるそぶりを見せることなく五十嵐くんについていく由宇ちゃんを見て、私はあげた手を力なくおろした。



「あ……と、ごめんな?五十嵐のやつ、しょうがねぇな」



いつの間にか三浦くんが私の隣に立ってて、五十嵐くんと由宇ちゃんの後ろ姿を見ながらそうぼやいた。



「まぁ、事情が事情だから、仕方ないか……」



今度はだれに言うでもなく、ポロっと口にしたらしい三浦くんの言葉に、私はなんとなくピンとくる。


きっと五十嵐くんが由宇ちゃんに告白したことを言ってるんだろうと思った。


そうだね?とおもわず言ってしまうと、三浦くんがビックリしたような顔で、私を見下ろす。



「あれ?もしかして……聞いた?」



「うん、さっきちょっとだけだけど」



「そっか、じゃあ大目に見てやってくれる?あいつ、悪いやつじゃないんだ」



三浦くんが友達をかばうのはいつものことだ。


あのカフェで悪いやつじゃないって、クラスの男子をかばっていたのを思い出す。
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