初恋マニュアル
怖くなかったと言ったらうそになる。


私は何も言えずにただ三浦くんの頭をながめていた。


あの人たち、だれなんだろう?


孝弘って三浦くんの名前を呼んでたから、きっと知り合いなんだとは思う。


だけど、あまりにも三浦くんに似つかわしくない二人だった。


だからつい、聞いてしまったんだ。



「さっきの……人たち……知り合い?」



三浦くんは下を向いたまま、小さな声でうんと答える。


それから少しだけ顔を上げて困ったように笑った。



「……中学のときの同級生なんだ」



――同級生……?



たしかに同じくらいかなとは思ったけど、あんなに派手なひとたちが……私を無理やり連れて行こうとした人たちが……三浦くんの……友達?


だってあの二人の三浦くんへの態度は、ただの同級生って感じじゃなくて、もっと親しげだったような気がする。


それでも三浦くんの顔がなんだか悲しそうに見えたから、私はそれ以上聞くのをやめた。
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