初恋マニュアル



「お水……買いに行ってくれたんだね?」



たぶん、傷口を洗うために買ってきてくれたんだと思って、私はわざと話を変えた。



「うん、でもふくもの持ってなかったな……濡れたままじゃバンソコ貼れないや……ごめん」



私は自分の持ってる巾着の中に、タオル地のハンカチが入っていたのを思い出して、急いで取り出す。



「あ……私、ハンカチあるから……大丈夫」



あわててそう言って、濡れた足に手を伸ばしたとき、ふいに三浦くんに手をつかまれた。



「え?あの……自分で……」



そのまま私のハンカチをうばいとると、三浦くんは少し顔を上げてニコッと笑う。


足に手を伸ばしてたせいでかがんだ私と三浦くんの顔がものすごく近くなってドキッとした。


触れてしまいそうな距離にあわててかがんでいた体を元にもどす。


三浦くんはそんな私を気にすることなく、うばいとったハンカチでていねいに足をふいてくれた。


それから指の間と足の裏の二か所にバンソコをはってくれる。



「あの……ありがと」



「どういたしまして」




< 162 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop